大河を前にして渡れず
それが運命だと美談にすれば
少しは気も晴れるだろう、よ。

だけど、それが臆病だと気付けば
今からでも遅くないと、ふんばれるか?

その、たゆたう大河の向こう
おなじリズムで揺れる気持ち

向こう岸の世界
まるで、そう、夢の世界

ここに辿り着くまでの長い旅路は
振り返るといつも、あっちゅう間

長い間、目標だった場所へ、あと一歩なのに、
大河だからと躊躇っている


向こうの夢が霞んで見える


ここまでも、これからも、あっちゅう間だ
つまり人生は短い。

苦労も承知で、嵐も雹も虎も最下位も
覚悟していたはずなのに、
何に躊躇う、どうして行けない?

揺れる気持ちに問いかける。
楽がしたいのか? ……ではない。

では何か。何が止める、邪魔をする?

あっちゅう間、あっちゅう間。

大河の途中でもがくだろうよ 
おぼれて死にかけるかもしれない
だけど、
過ぎれば短い。という、経験上の法則。
ここで留まる、きっと、この瞬間よりも……

あっちゅう間、あっちゅう間。
渡り挑む前の 鼓舞の呪文。



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あっちゅう間
by Shogo Suzuki