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アート展としては、かなりトライアルな構成。あまりみたことの世界へ誘ってくれる。が、正直、小規模であり、入場料っていくらだっけ?と考え、1100円か、あ、まぁ、そうか、というモノであることを最初に頭に入れておくと、見終わったときにおつりがくる。不思議な空間で、思い切り新鮮が吸える時間だ。小山田圭吾(コーネリアス)が書き下ろした新曲「AUDIO ARCHITECTURE」を9組のアーティストが翻訳するように表現する。音が粒となり、光となり、風になって吹き荒れるギャラリー2は、さながら、年末にナインティナインがやっている「おもしろ荘」や、漫画家が住んでいたトキワ荘のようだ。まずは、ギャラリー1から。通常、このデザインサイトでの展覧会は全てのギャラリーをつかって、ある程度のボリュームで見せてくれることが多い。が、今回は2つのギャラリーのみ。1つ目は小山田圭吾らが演奏する新曲を全面、左右のスクリーンで流す。「音楽」をしっかりと印象づける間のようなもの。振り返って小さなスクリーンに、曲の詩が並ぶ。稲垣哲朗は、ここに小さなしかけを作る。それに気付いた時(諦めて素通りしなくてよかった)、あっ、と小さな声が漏れる。もう一回、見たくなる。そしてギャラリー2へ。横長のスクリーンは、ハイツをベランダ側から見ているようなイメージ。小山田圭吾の音楽に合わせて、カラフルだったりモノトーンだったり、文字だったり絵だったり。そんな「映像」が踊る。長いベンチに座って全体を眺め、それが終わったら「舞台」へと上がる。音と光の渦の中へ。ここは飽きなかった。8組のアーティスト描き出したアーキテクチャ、構造物の中で、その場の力を感じる(フライヤーより)。写真撮影、可。なんと、動画も15秒以内なら取ることができる。カップルや子連れが、この不思議な建造物の中でシャッターを切る。

ベランダ側の裏、つまり玄関のような「裏側」に回ると、8組のアーティストの表札(のようなアート)がある。大西景太、折笠良、梅田宏明、勅使河原一雅、UCNV、水尻自子、ユーフラテス(石川将也)、辻川幸一郎。ベランダ側(大きなスクリーン)で見ていた梅田宏明の線の力や、水尻自子の柔らかい空間、ユーフラテスのデジタルな映像が、それぞれ個別に、ブース形式で展開される。最後は、辻川幸一郎の、カメラに写った顔をぐにょぐにょにする映像。大人から子供まで楽しめる「場」が、1つの力になるという、トライアルしようとしていた建造物が、実に楽しげな事に、ここに来て、改めて感じる。

さぁ、次は何かな、と思わせる、ここで終了。スパッと終わる。それはそれで、またいいのか、とも思う。

AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展
@21_21 DESIGN SIGHT
2018年7月14日(土)