2006年5月5日(金)
4日目

バルセロナ


朝はいつも通り7時半の目覚ましでおきた。昨日、少しだけ書き残していた日記をかき、顔をあらって外へ。昨日と同じく、宿の前のカフェでカフェ・コン・ミルクを飲む。

と……、なんか口の中に違和感が。コネクリまわしたあとで出してみると、ゲッ、なんかダンゴムシのようなギョウ虫のような、とにかく「虫」がゴロンと入っていた。ゲ!はき出したものの、その足の一本や二本は食べてしまったのではないかと不安になる。オウェッ。まぁ、残りのコーヒーも飲んでしまったので、この辺りは妙だ。形に見える虫させ出せばOKみたいな。結局、コーヒーの中にはいっていたんだけどね。

さて、今日もカタルーニャ駅からスタートする。

なんか慣れたような気になるのは落ち着きってやつが大きい。切符を入れてすぐにあるのはL3で、L1の乗り場はけっこう移動する。そこからFondo行きにのってClotでL2にのりかえ。そしてサグラダ・ファミリアという駅へ。ちょうど午前9時ごろだったので、朝のラッシュなのだろう、車内は満杯だった。

駅を出ると、バーンと現れるのがガウディの作った聖家族教会、サグラダ・ファミリア。1882年からビリャールの設計によって始められ、翌年、若干31歳のガウディがひきついだ。以来、124年たった今でも未完成。そんな世界有数の有名な教会だ。もちろん、今も工事中。完成までに300年かかると聞いたことがある。つまり、完成なき、未完成の教会。ずっと作られていくという広がりを持っている。

入場料8ユーロ。午前9時オープンなので、まだあいたばかりの時間に行ったのは正解だった。人があまりいない。日本人と他のどこかの欧州人のグループ客がいただけで、工事をする人たちも、コーヒーを飲んだり、朝食をとったり、のんびりしていた。見上げすぎて首がいたくなる。ステンドグラス、柱の曲線、そして尖塔にカラフルな色づかい。正面の彫刻による装飾は見事というよりあきれる程に感嘆する。今日は天気がすごく良かったので、青空をバックにすばらしい。黄色いクレーンもなんだか美しく見える。教会内は、エレベーターと階段で上ることができる。2ユーロがもったいないわけではないが、階段で上ることにした。「すきま」から見える光景が造った「それ」と、もともとある「それ」が合わさって、とても独特で、結局「それ」っていうのは空だったりするところが、この街の中に溶け込んでいる証のようにも思う。

たしかに目が回ったし、ちょっと怖かったりもしたが、上に上って見渡す街は、というよりサグラダ・ファミリア自体が、美しかった。ハトが羽ばたくデザインの装飾の下に、本物のハトがとまっていたり…。ず〜っと、見上げていた。

模型が並べてあるミュージアムを超え、出口からでると、ツアーバスが並び、入口付近で大混雑がおきていた。土産物屋が前の公園に溢れており、ぼくはぐるりと一周して反対の公園から、全体が見渡せるサグラダ・ファミリアを撮った。「写真とってください」といわれたので撮ってあげたが、逆光だの、真ん中すぎるだので、3枚もとった。後ろには、どこかの国の「ツアー客」が群がっていたのに。

そこから歩いてトラアグバルへ。

本当に陽射しが気持ちいい。地下鉄のラインでいうと、L1のグロリアス駅の近くで、ロケット型というか、とんがり帽子型というか、そういう独特のデザインをもったビルだった。恐らくバルセロナの中で最新の斬新なデザインの建築なのだろう。現地の若者(そういう系の学生)の姿も多かった。陽射しをうけてカラフルだ。ビル全体を覆う、ガラスを一枚一枚ふいて清掃する人が三人いたがた、これを全面やるにはいったいいつになったらおわるの、と感じた。

このトラアグバル周辺はまだまだこれから開発されるだろうエリアの一角だと思う。そういや、スペインの他の町からきたらしいカップルに道を尋ねられた。え!?オレに?と言う感じだ。L1のグロリアスからカタルーニャ駅に戻る。左側に切符を入れるのが普通(カタルーニャ駅は違うが)なのだが、ついついいつもの癖で右側だと勘違いして、バーを押していたが進めず少々強引にガンガンやっていると、女性が近づいて優しく「こっちよ」と教えてくれた。ほんと、こういう人がいると助かる。僕も日本で困っている人には、こういう風に自然にヘルプしてあげたいと思う。

カタルーニャに戻りL3に乗り換えて「Lesseps」へ。グエル公園に向かう。

駅を出てから1500mという標識があったので遠いとはしりつつ歩いていたが、“過ぎる”。これはまた間違ったかと人に聞きつつ、軌道修正。なんとか、グエル公園に向かうルートに乗れたが、ものすごい坂道だ。バルセロナ市内を一望できる高台にグエルが造ろうとした街並み。その後、公園として計画が変更されたので、「登る」のだろうとことは想像ができた。が……、確かにエスカレーターがあるにはあるが、途中の住宅地は歩きだ。公園敷地内にはいってもさらに登る。十字架のある小高い頂上につき、一望したら、お〜と確かに感動もするが、なんか違う。

公園過ぎるのだ。木々と花と砂と。いやいやグエル公園じゃない。ガウディの設計したおとぎ話のようなカラフルなモニュメントがないではないか!と小さな案内板をみつけ、そこに「Monument Zone」、↓ダウンとある。は?おりる?こんなに登ったのに?せっかくがんばったのに?

下りていくと、よく写真でみる、想像通りのグエル公園が姿を現した。つまり、ここが入口。どうやら上の方から入ったらしい。天気のよさ、人の多さ、子供はしゃぎ具合、さながら遊園地だった。

グエル公園を後にして、途中のカフェでハンバーガーとコーク、2.70ユーロをたべる。バーガーはパンを焼いてくれると倍おいしい。

そのままレセップスの駅に戻る。あー、ここを曲がればよかったのか、と間違いにも気づき、そのままL3で「ディアゴナル駅」へ。ここ、グラシア通りは、ニューヨークの5番街や東京の銀座といった感じ。ヴィトンにシャネル、高級ホテルが建ち並ぶ。文句なしにオープンカフェが似合う。ディアゴナル駅を出てすぐに見えるのがカサ・ミラ。曲線が優雅な「山」のような建物だ。中に入ることもできるが、またしても行列になっていたのでやめた。そのまま、グラシア通りをカタルーニャ駅に向けて歩き、今度はカサ・バトリョに。カサ・ミラが「山」に対して、こちらは「海」だという。隣が大工事中だったが、うもれるように建つカサ・バトリョは、カサ・ミラよりもガウディらしいように思えた。何となく、だが。中に入ることもできる。ん?あんまり並んでないな、と思ったら、16.50ユーロもした。そら、入らんわ。加えて、ここは単なる住宅だという。

カサ・バトリョの向かいにあるアントニ・タピエス美術館に行こうと、信号を待っていると、一人のおじさんが話しかけてきた。イタリアはミラノ在住。石油商をしているという64歳。息子はIBMで働いているらしい。完璧な英語を話す。ビールでも飲むか、というので一緒に飲んだ。席についてもなかなか注文を聞きに来ないのにいらつき、3軒も店を変えた。こいつ、日本人みたいだな、と思った。ビール2杯をごちそうに、まぁ、いろいろと楽しい話をした。バーを出て(まだ午後2時だったが)、イイオンナのいる店がある、そこで楽しんでからおいしいパスタでも食べよう、さぁ行こうとぐいぐいと引っ張られた。え、え、え、と思いつつ、さぁ、さぁ、さぁと引かれる。彼も一人、僕もひとり。つまり暇なんだよ、と。あーもーこのまま行くのもいいかなと思ったが、どこで豹変するか分からない。体の良い客引きとも考えられる。

危険信号が鳴り響き、「あー、やっぱいいっす」と言って別れた。

それからアントニ・タピエス美術館へ。

現代美術の巨匠としてピカソ、ミロ、ダリに続くと言われるタピエスのコラージュなど、非常に斬新だ。そこで一気に日記を書いた。ここちいいソファに座って。このタピエスというアーティストは、やっぱりすごいのかもしれない。館内2階(フラッシュなしのカメラならいいがビデオはダメ!って注意されたところ)の半分は図書館になっていて、若者が机に座って何やら書き込んでいた。芸術センターというところだろう。そういえば、スタッフも学生っぽい。

美術館を出て、グラシア通りをカタルーニャ広場に向かう。改めて観光客が多い。さっきのうさんくさいおじさんの餌食になるひとが、この中にいるのでは・・・、と勝手に心配する。

カタルーニャ広場からカテドラルに行き、見逃したと思っていたピカソの壁画(ショッボー)をみる。カテドラルから宿までの近道を見つけ、というより初日は海岸から行ったので遠く感じたが、そのまま人混みの中を歩く。

どうしようか…と迷ったあげく、「クワトロ・ガッツ」に行った。迷ったのは、なにげに高いということ。ただ、ピカソが若いときに通っていたということと、レストランのメニューも売れない頃のピカソが描いたというだけで、、、有名なだけなのに。ロンプラにもピカソとクアトロ・ガッツの関係が紹介されているのだろう。店内をパチパチ撮る欧米人の観光客が多かった。

店員の対応にイライラが募る。何しろ、対応が悪すぎるのだ。人気レストランだからといって、どうも横柄さが鼻につく。だから書いてやる!「料理の味、たいしたことないぞ!」……まぁいいや。まず、店内に入ると、ドリンクかミールかと言われたので、「ミール」というと、奥へ案内された。ピカソデザインのメニューが出され、お〜と思いながら開くと、……読めない。スペイン語、スペイン語、スペイン語。ちょっとは理解できるようにもっと勉強すべきだったな。パエリアとかでいいんだけど…。どうも「ちゃんとした」料理が出される模様。左後ろの日本人カップルも同じく読めないと…。

店員を呼んで色々と聞きつつ、僕はビールとダック・ミールを頼んだ。ダックのローストと焼いたフルーツにサワークリームがのっている。うまくは…、ない。いやもちろんまずくもない。これが13.40ユーロ。ビールをたのんでタックス込みで18.51ユーロだった。の、価値はないと思う。
ただ、皿とかカップが、「クワトロ・ガッツ」っていうネームバリューで素敵に感じた。

クワトロ・ガッツを出て、最後のバルセロナの街をうろつく。宿の近くの広場には露店がならんでいた。また、例のキャンディ屋にいって、ビールとチョコを買い、少し話す。また、店員の女性にあめ玉をもらい、アディオス。明日、早朝にマドリッドに発つので最後になる。

今日一日、歩きすぎたし、色々詰め込みすぎた。あまりにも「予定」が詰まると、ほんとにドッと疲れる。夜になって涼しくなった広場のベンチで、ぼんやり座っていると眠りそうになった。

危ない、危ない。盗まれるぞ。



Bookavel Topに戻る