BTTB
坂本龍一 (1998年発売)

opus
sonatine
intermezzo
lorenz and watson
choral no.1
choral no.2
do bacteria sleep?
bachata
chanson
distant echo
prelude
sonata
uetax
aqua
snake eyes
tong poo



「Back To The Basic」(原点回帰)の頭文字をとったストレートなタイトル。このアルバムは、YMO活動開始から20年、坂本龍一が3歳から始めたという「ピアノ」に回帰して作られた作品。意外なことに、坂本龍一初のピアノアルバム。

編集者の父、デザイナーの母、そのDNAを融合した彼は、ピコピコと新しいミュージックを創り上げた。オスカーにグラミー賞、世界的な名声に加え、オリンピック開会式の指揮者まで勤めた世界のサカモト。戦場からメリークリスマスを告げ、あほあほマンでおしりを振った、、、20年。

彼の原点回帰は、一本の線を、頭の奥深いところで、心地よく絡ませてくれる音だった。

このアルバムはそんなメロディが続く。オペラの単数形「Opus」は、まさに「単線」を意識したライン。リズムは弾むでもなく、沈むでもなく。まさに「たゆたう」感じ。イチ・ニ・サン・シと心の中で刻むリズムを絶命に半呼吸分ずらしたり、早めたり。単線だが単調ではない妙技だ。

このBTTBから遅れること1年。「ウラBTTB」と名付けたシングルが出る。「戦場のメリークリスマス」以来の大ヒットとなった「エナジー・フロー」や、ニュース番組のエンディングになった「Put your hands up」を含む3曲。僕は、こちらを先に買い、後でBTTBを買った。と、ちょっとしてからヨーロッパ版でこの2枚のアルバムを合体させたBTTB(輸入盤)が出る。なんか損した感じだが、まぁいい。

スピーディに華やかさをもった「Sonatine」、弾くような「Lorenz and Watson」と続き、モンゴル楽器・口琴を使った「Do Bacteria Sleep? 」へ。この曲は、ど真ん中に坂本龍一をいっている気がする、逆に。まるで効果音と言う人もいるが、前を引き受けて次に繋げる役割ではなく、単独して存在する「びよよ〜ん」的音楽なのだ。月夜の草原をイメージすると、なんとも心地よい。

続く「バチャータ」と「Chanson」あたりまでくると、完全に「音」の線が頭の中で絡まってくる。時々高音で「チャララン」となると、ピクッと反応する。

たゆたう、たゆとう。


これぞピアノ曲!というべき「Distant Echo」は、楽譜が読めて、指が型どおり動いても、ちょっと弾けない代物。僕は一番好きかも知れない。6分近いこの曲が頭の中でリバースする。

最後は「aqua」。これは、一つの曲として、印象的だ。歌うように奏でられるリズム。センメリやエナジー・フローのような名曲の香りを残して・・・

僕は、またリピートして、Opusへ。



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