THE ドラえもん展 TOKYO 2017
The DORAEMON-TEN Tokyo 2017

森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
2017年12月9日(土)

最近では、すっかりお馴染みになってきた「写真が撮れる展覧会」。ドラえもんという日本を代表するマスコットをテーマにしたアート展で、写真が撮れる。フォトジェニックとはこういうことか、とさえ思わせる。写真撮影が不可の作品を数えた方が早いほど、ほとんどの場所が撮れる。

“ドラえもん×現代アート!「あなたのドラえもんをつくってください。」国内外で活躍する28組のアーティストたちに、こんなお願いをしました。” そうやって始まるのが、このドラえもん展だ。15年前、日韓でW杯が開催された2002年に行われた展覧会の、今期は続編だ。

まず、強烈に印象的だった作品は、しりあがり寿の映像作品。劣化防止スプレーというドラえもんの道具を巡るお話で、それはそれでなるほどなテーマだが、それよりも、劣化していく過程のアニメーション、もはや「線」と言った方が良いかも知れない世界感が独特だ。ドラえもんやのび太、ジャイアンにスネ夫、しずかちゃんは、個々存在していないような別人。なのに、しっかりとそれと分かるという不思議世界。笑える作品になっている。

次に、個人的に気に入ったのは上の写真左下。山本竜基が描いた絵画。「山本空間に突入するドラえもんたち」とタイトルの通り、これはタイムマシン。歪みなし、暗さなし。恐竜時代に取り残されたドラえもん達を山本のところにも来て欲しい。そんな作品だという。

他にも、小谷元彦は、ドラえもんをまるでキャッツ・アイのように表現した。鴻池朋子は、雪に埋もれてドラえもんの主題歌(古い方)を歌った。会田誠は、ドラえもんの中でも一種のお決まり。しずかちゃんのシャワーシーンの一コマを描いた。いつもはのび太が当面人間になっているところをしずかちゃん自身を透明にしてしまった。奈良美智は、自身の世界感の中にしっかりとドラミちゃんを連れてきている。悔し泣きする、耳のないドラミちゃん。実に印象的な一枚になっている。

その他にもキテレツ大百科とドラえもんが一緒くたになったようなタケコプターの解説書?だったり、後藤映則の光の世界。これは、当展覧会のフライヤーになってるドラえもんという文字のような白い線の組み合わせから、光が生まれ、それが広がるとドラえもんやのび太になるという作品。いちばんと言って良いほど、感嘆の声が漏れる作品だった。




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