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MRJ

リージョナル・ジェットとは、言ってみれば中・近距離旅客ジェット機のこと。座席数も少なく、小回りが効く。やれエアバスだ、ボーイングだと言われる航空機の中で、このリージョナル・ジェット機は未来のエアライン事情を牛耳るとまでいわれている、らしい。総二階建てで700人もいっぺんに同じ目的地に運ぶものより、路線バスのごとくたくさんの線で点と点を結ぶ。移動手段として身近になった飛行機のこれからには、たしかに大いに有用だろう。

そんなリージョナル・ジェット市場に、日本の企業が「殴り込み」をかける。MRJ(Mitsubishi Regional Jet)だ。三菱重工が2013年の就航を目指して開発を進める国産初のジェット機。

そもそも国産の飛行機というのは、YS-11なき今、ひとつもない。それは、第二次世界大戦後に一気に急成長した旅客機生産業において、アメリカが日本の「飛行機製造」を禁止したことが大きく影響しているといわれている。単純に、自動車もバイクも、日本企業の製品は質が高く、世界で通用している。なのに、、、だ。ただ、ボーイング社は確かにアメリカだが、重要箇所は日本産という事も珍しくない。特に、次期ボーイング機787は、日本産の割合がずっと高い。

ま、そういうことはおいといて、このMRJ。まだ全貌は明らかになっていない。昨年6月、パリのエアーショーで主翼より前の部分の原寸大モックを展示したのみ。タンチョウが飛翔するのをイメージしたシャープな機体先端部、外装は赤・黒・金のライン。これは漆のイメージ。内装もジャパニーズ・モダンを意識した落ち着いた雰囲気だとか。照明にはLEDが使われている。

そして何よりシート。薄さと座り心地の両立。自動車のシートを製造している企業と共同開発したMRJのシートは、白のシートで背面が黒。シートに座って目に入る前の席は黒色と落ち着きがある。薄さにこだわり、足下のスペースも確保。これには、これまでクッションに使われていたウレタンを、三次元に編み込んだネットを使用することで薄くても座り心地のいいシートを完成させたとか。小型機である宿命か、あまりゆったりとした「感じ」は受けないかもしれないが、自分のスペースは、最大限に確保できそう。

後は市場の反応。リージョナル・ジェットにはカナダ・ボンバルディア社やブラジル・エムブラエル社などコンペティターが多い。が、始まったばかりのこの市場では、一気にトップにたてる可能性もある。これからのMRJの動きに注目したい。