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東欧に生まれ、インドに骨を埋めたマザー・テレサ。
修道院を離れカルカッタのスラムへと活動の場を広
げた彼女は、人生の転機にはきまって「神」の声を
聞いたという。
1950年代、カルカッタの街には路上で死を迎える
貧困者が後を絶たず、数百人規模になっていた。
市はマザー・テレサの活動を聞きつけ、彼女に場所
を提供する。キリストとヒンズーという宗教を超えた
活動の始まり。
ヒンズーの寺院でシスターたちが活動する。最期の
場として存在する「ニルマル・ヒリダイ」。
この家ではヒンズーの人はヒンズーで、その他、それ
ぞれの宗教に合わせた葬儀を行った。マザー・テレサ
はただ、最期の場として提供されるこの家で活動した。
もちろん、幼児や教育の行き届かない子供への学校
など精力的に活動をし、ハンセン病の誤解から生じる
差別にも悠然と立ち向かった。が、行き着いた先は「死」
に対する活動だった。最期は安らかに、と。
彼女はもっとも防御の少ない姿で、
最も攻撃的な活動をした、と言える。

ニルマル・ヒリダイ(死を待つ人の家)