アカデミー賞外国語映画賞を始め、21世紀に入ってすぐの2001年から2002年にかけての半年間、この20世紀末に取り残されたかのようなテーマの作品が、12か国で17の賞を受賞した。

紛争、殺し合い、国連の無力、マスコミの視聴率最優先主義。今、21世紀になって5年、もしかすると、この世紀を予兆した作品だったのかもしれないと実感する。
1993年、紛争中のボスニアとセルビアの中間地帯「ノー・マンズ・ランド」に取り残されたボスニア軍兵士とセルビア軍兵士のお話。

まずいえるのは、話が面白いということ。終わり方が斬新であり、リアリティを持っている。なにかと考えさせられる映画である。敵対する民族間には相違があり、取り残されて二人きりという局面に至っても心のそこから信じ合う事が出来ない。最後には殺しあう。

何のための戦いか、世界にどう伝え、何を解決し、問題とし、そう、結局最後はみんな見殺しにしてしまうのか。「もう何もないから」とマスコミは帰り、一人放っておくことは出来ないと正義感をもった国連兵も取り残された兵士を見殺しにして車を出す。
→民族紛争の結末。何に怒り、どうして殺しあうのかの不条理。
→国連兵は何のために存在するのか。見ているだけの不干渉。
→マスコミは何を伝えるべきなのか。

今のままでは、何一つ救えない。
「あれ?オレ等ってなんで殺し合ってるんだっけ?」なんていう現状の下でノー・マンズ・ランドに取り残された兵士三人ともが死んでしまったように。

この映画は、観ている者に、「じゃ、君ならどうする?」と投げかけられたような気がする。
「僕なら」と勢い込んで正義を語ろうとするが、実際は、つまる。このつまりが凝り固まって今の世界がある。今の、この、争いの絶えない世界が。もっといえば歴史がある。

な、重〜いテーマを、ユーモアいっぱいに展開してくれる分、簡単に放棄することもできずしっかり噛みしめて考えてしまう。そういう意味も含めて、「ライフ・イズ・ビューティフル(ロベルト・ベニーニ監督作品)」に近い傑作だと言えるのではないでしょうか。



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ノー・マンズ・ランド
NO MAN'S LAND
 
2001年(フランス・イタリア・オランダ・イギリス・スロベニア)


監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:ブランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラヤツ