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航空機の世界で「危険な現象」と呼ばれるものは、天候や気流に関するものが多い。そんな現象も、上空を航行中は影響が少ないと言われ、その分、離発着する際は上昇や下降の気流、天候の影響、鳥も多く、さらには活発な交信が行われるなど危険度は増し、「魔の11分(クリティカル・イレブン・ミニッツ)」などと呼ばれている。これは、離陸後の3分間と着陸前の8分間。この11分に航空機の事故は集中している。

ニューヨーク、ハドソン川の奇跡と呼ばれた事故は、鳥がエンジンに入り込む「バードストライク」が原因だったし、記憶にあたらしい2009年3月の成田空港でのアメリカ貨物機の着陸失敗は、急激な風の変化(ウインドシア)が原因だった。11分。ここにこそ危機があり、そこにこそ集中するという「注意が十分に必要な」ところなのだ。が、ヒューマンエラーなど、集中しても、起こる事故はあり、それほどに便利が生み出しす過密というのが現れているようにも思う。

とは別に、「晴天乱気流」という言葉がある。これはクリア・エア・タービュランス、頭文字をとってCATと呼ばれる現象だ。通常の乱気流とは違い、目でもレーダーでもとらえにくい乱気流。そこに入れば、機体が大揺れし、けが人が出たという事例もあるという。(以上、朝日新聞参照)


通常、空を飛ぶことの不思議よりも便利さを優先し、そこに危機があることを忘れがちになっている現代。晴天に霹靂とばかりに、晴れた空中に乱気流が渦巻いているという「危機」に対し、日頃から注意を払う姿勢が「より」大事になってきていると思うのだ。特に、「目」じゃなく、「レーダー」に頼る現代社会において、それでもうつらない「危機」があるということを。