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国立ソフィア王妃芸術センター (マドリッド)
「ゲルニカ」 Guernica, Pablo Picasso
すごい、すごい、とは聞いていた。そして「でかい」、とも。だけど、実際に見ると、圧倒的だった。ついに、僕は見てしまった、『ゲルニカ』。バルセロナから片道43ユーロのイベリア航空にのって、マドリッドに着くなりそのままの足で向かった国立ソフィア王妃芸術センター。
なんとも絶妙なバランスで「質素」な外観、「あ、おれ、ここ、すき」と、ソワソワしながら館内へ。「うわ、広っ」と、グルグル見て回る。すげ、ミロもダリもタピエスも、さすがに首都、日本でも「すげえ」のは東京に集まるように、ここでもマドリッドに集合するわけね、と思いながら、、、うん、うん、うんと頷くポーズで歩き……、きた、きた、きた、ピカソの作品が並び始めた。
っで、大袈裟ではなく、“ヨーロッパの石畳の路地を歩いて歩いて、一気にバーンと教会が現れる”ように、そんな感じで『ゲルニカ』にご対面。長〜い回廊式展示スペースを「これでもか」、という具合に有効に使ったディスプレイ。もう、なんだろう、アートが定着しているとはこういうことかと、苦い粉をかみつぶしたようなキュンとした快感があった。
ピカソの作品の中でも一際「デカさ」が飛び抜けた傑作『ゲルニカ』。本なんかでよく見るが、じっくり本物を眺めると、モノトーンの中に、背景のグレーの中に、実に様々な濃淡があり、仰向けになった「人」の鼻は下にたれ、グルグル暴れるように照らした電灯は雷のように尖っている。キャンバスの中にいるすべての「モノ」が叫び、そして被害者だ。ゲルニカという村を「全滅」にした壮絶な歴史を感じる。いやぁ、すごい。モナ・リザよりダビデ像より、ぜんぜんすごい。これを見るためにわざわざ足を運んでも満たされるはず。満足、満足。
Guernica, Pablo Picasso 国立ソフィア王妃芸術センターHPより