↑ボーイング社の最新機体B787(ドリームライナー)。
それに使用されるブリヂストン社のタイヤ。
地上から旅立ち、帰還する時の架け橋のようなタイヤが
入り口の前に展示されている。

空と宇宙展@国立科学博物館
2010年12月04日

1910年、動力飛行が日本で初めて実現。それから100年。「飛ぶ」ことの日本の歴史を黎明期から現在まで一気にまとめ上げた展覧会。そんな「空を飛ぶことにかけた100年」が見たくて、国立科学博物館に行った。

空を飛びたい。動力とプロペラを付けた飛行機を夢見た二宮忠八は、空を飛ぶ烏などを真似て実験を重ねる。そんな最中の1903年、ライト兄弟がついに空を飛び、忠八は悔しさに明け暮れる。という、日本の航空技術黎明期から展示は始まる。

その後、世界との交流を重ね、日本でも航空機が作り始められる。世界一周を果たしたニッポン号の記念品やポスターなどは時代背景を映したアジを持つ。同じ飛ぶということに関しても、もちろんいろんな「方法」があるわけで、式別に展示される書物や模型や設計図が豊富だ。

そして、戦争へと突入し、当時世界一だといわれた零戦(零式艦上戦闘機)や終戦間際悲しい歴史を刻むことになる三菱雁型の「神風」などの模型が並ぶ。

名機100選の模型がずらりと並び、それとは別コーナーに初の国産旅客機YS-11が特集されている。中でもカタログや機体パンフレットが展示されているのにはついつい目がいく。当時の「勢い」というのを感じつつ、今はなきこのYS-11のレトロ感に酔いしれてみる。と、一角にはYS-11の量産初号機の保存(羽田空港保存)のための募金をつのるボックスがあり、1000円札やら中には1万円札まで入っていた。

国産旅客機の生産終了を受け、次に出てきたのがMRJ。三菱航空機(三菱重工業の子会社)が作り出すリージョナルジェット。つまり中距離・中型の旅客機だ。開発した複合新素材を使用し、低燃費を実現したエコジェットで、同じ中型機で世界一のカナダ・ボンバルディア社やブラジルのエンブラエル社に挑戦しようとしている。新幹線を思わせるフォルムに、風の抵抗云々を考慮しつくした「技術」を感じる。早く一号機が見たいものだ。

航空機を見終わると、ペンシルロケットから始まった日本の宇宙開発のコーナーへ。以前、JAXAの見学に行っている僕は「はやぶさ」狙いだったが、さすがに時期が時期だけに、「はやぶさ」のコーナーには人だかりが出来ていた。まず、実物大の「はやぶさ」を見る。遙か彼方の小惑星「イトカワ」に辿り着き、採取などは失敗したものの、微粒子をこの地球に持ち帰った世界初の偉業。展示では、イトカワという小惑星の模型(なんだか大きな岩みたいな)と、接触点が示され、「はやぶさ」の開発までに、様々なシュミレーション(イトカワの表面が砂利なのか、硬い岩なのか、もしくはゼリー状なのかなど)の様子が示されている。実際にどう接触を試みたのかなど実物模型を使用して説明されてもいる。個人的には、イオンエンジンを使用したはやぶさの提案書や試験日報などが面白かったが、もちろん、内容はちんぷんかんぷんだった。

地上へともどってきたはやぶさのカプセルを採取する防護服。もちろん、宇宙空間をただよった「物体」だけに、何が放出されているか分からない。だだっぴろい砂漠のようなところで、二人の作業員が銀色のケースに入れる様子が映像で流されていた(映像は撮影不可)。それを見て、小さいなぁ、という感想と同時に、こんなに小さなカプセルが、この地球上の「どこ」に落下したかを知るには、、、相当だなとそんなところでまた関心してしまう(方向探査アンテナなども展示されている)。


すごいな、すごいな、と思うばかりで、正直なところ、そのからくりは、ほとんど理解出来ない・・・。科学が好きな人には、これはもう夢の展示なんだろうな、と思いつつ、大枠だけ見聞きして、「すごい」と思えるのだから、品格も技術ももった強い横綱を、どこがどうスゴイということを知らずとも、見ているだけでスゴイと感じるのに似ているような気がしたりして。

最後は、現在の宇宙開発報告。ソーラーシステムを使った宇宙ヨット「イカロス」や、金星探査機「あかつき」などがクローズアップされ、見て触って分かって、という「かはく」特有の展示方法に、ここでもまたおもしろさを感じてみたりする。

ここに書いたのは、ルーブル美術館でいうと「モナリザ」と「ミロのヴィーナス」と「サモトラケのニケ」だけば〜っと見た、的なレポート。

来年2月まで開催されているので、行ってみる価値は十分にあり、だと思う。


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