築地本願寺の前の道を入り、小学校の向かいにあるこの店は、どこかワイン倉庫のような、隠れ家のようで京都のうなぎの寝床のようで。全体的に茶色っぽい印象が強く、BGMはアンダルシアだ。席に着くと、目の前のショーケースにタパスメニューが並び、ズッキーニやトマト、ブロッコリーが「きれいな色」で並べられている。ワインが豊富なんだろうなと思わせるカウンター越しのオープンキッチン。ビール党のぼくには、ハイネケンのみの生ビールがちょっとものたりなく、「アルハンブラ」という名のスパニッシュビールを頼む。つき出しに出されたパンは、焼きたて?とメニューにはあったが、冷たく、それでもバターが美味しかった。それと一緒にジャガイモとチーズ、イベリコ豚の生ハムが入ったスペイン風オムレツを注文する。限定8食。その言葉に負けた感もある。よく考えると、これはホールケーキのように一つ焼いて、それを8ピース分だけ出すということなんだろう。1/8サイズのオムレツは、可もなく不可もなしといったところ。喉が乾き、ビールを流し込んだぼくには、ちょうどいいつまみになった。
そして、この日のおすすめ?マッシュルームのセゴビア風を注文。熱々のプレートの中で躍るようなマッシュルームは、オイリーなソースの中に、これまたイベリコ豚のハムが入っていて、それをたっぷりすくいとって食べると美味だ。きのこってほんとに、いつも美味しいなぁ、とたけのこの里派のくせにきのこ好きのぼくは思ったりする。
もちろん、スペイン料理の代表格、パエリアも注文する。築地という土地柄、魚介類がいいというイメージから?いや、というよりパエリアはやっぱり魚介だろうということで、サフランの香り高い魚介類のパエリアを。「お時間をいただきます」という忠告通り、サーブされるまでに時間がかかったが、これはまさしく絶品だった。エビ、カニ、ムール貝にイカ。たぶんもっと何か入っていた気がする。熱々なことも手伝って、やっぱりパエリアは「間違いない」なと思わせる。お焦げも、またよかったりするのは、日本人だからか?
ゆったり、シエスタのリズムで。そんな雰囲気に包まれた店だ。

【スペイン・アンダルシア郷土料理】
スパニッシュバル ソル SEVILLA @築地  2009年4月11日(土)

→sekai MESHIトップに戻る

上)ショーケースに並ぶタパス
下)つき出しのパン

左)スペイン風オムレツ
右)マッシュルームのセゴビア風

左)魚介類のパエリア
右)「アルハンブラ」ビール
とカヴァ