ただ風が吹く
酸っぱい風が吹いた
軽い花片は舞い上がり
それをバックに君は歌う
悲しい 悲しいと
泣き叫ぶのように
なのに 微笑みながら



曖昧に笑い返すぼくは弱い
合間に何か 言ってあげたいけど



引っ付くような声が耳で粘り
頭の中のイメージがどんより重い



ただ風が吹き 舞い上がる花片




真正面から風を受け
持ってかれないように踏ん張る
隣で他人が飽食暖衣を謳歌して
苦しい 苦しいと
横っ腹を抱えて笑う
なのに 悔しがったり



必死に堪え忍ぶぼくは弱い
羨ましいことも口に出せないのだ



引っ付くような風が体中で粘り
心の中の残像があくまでも重い



ただ風が吹き 舞い上がる花片




そんなカラフルな光景
だけどモノトーンの肖像



目の前の空間と
別次元にぼくは居て
ただの偶然で
同じ風を浴びているようだ



  
by Shogo Suzuki