この僕の ちっぽけな掌に
すっぽり収まる 小さな器


そこに 
出来るだけ多くの言葉を注いで
回してみる


素早く 大きく 右周り


シュル シュル シュルリ


グル グル グルリ グルグルリ



追いつけない言葉が余分に回転しては
音を立てながら外へ飛び出し


飛び出した言葉を追いかけては
拾い集め 汗をかいて 言い訳をした


零れ出た僕の 
確かに自分の言葉に
まるで他人事のように謝った


御免 御免 すいません



そんなカラカラの言葉をまた器に注いで
頭の中でグルグルとやっているうちに


僕は僕の言葉を見失い
失った気持ちを憎んだ


面倒になってテキトーに回しては
昔あった気持ちさえ羨んだ



春 夏 秋 冬
それらしく色づく毎日を
年がら年中同じ色で溶け込むことも出来ず
ただグルグルやっている僕は 無色になった


器に残った言葉に映る自分の顔が
葉っぱよりも薄く 曇り空より寂しく見えた



何から何まで不十分



この僕のちっぽけな器だけが
今の不十分な現在のすべてで


その器にさえ映らない僕の目標は
はっきりと映し出せる
「今」をつくりあげること、だ。



  
by Shogo Suzuki