山口晃というアーティストの裏側まで見られる魅力的な展覧会。
古いと新しいの軸をぐちゃぐちゃにしてから
しっかりと整理する。その仕上がりがとてもアートだ。

まず、歩くだけで気分が悪くなる(つまりは普通の部屋の脅威)を表現する。




その部屋を通り過ぎて、まずは「セザンヌ」。








「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」(ポール・セザンヌ)








「ランドルト環」(山口晃)





「モスキートルーム」(山口晃)





ここまで来て、今回のメイン、時空を歪ませて一つの作品に仕上げた東京の俯瞰図、
「東京圖1・0・4輪之段」(山口晃)の前に立つ。
これは、生で見たときの圧倒的なパワーは、写真や印刷では出ない。
それほどの細密画、散りばめられたユーモア、東京という街の複雑性。




















洛中洛外図のような気分で東京を俯瞰したあと、今度は東京パラリンピックのポスター、
「馬からやヲ射る」(山口晃)





この展覧会の面白さは、この一つの作品に対する裏側を漫画日記で著すこと。
「当世壁の落書き 五輪パラ輪」(山口晃)








次は、「さんさしおん」(山口晃)





見て、ゾクッとした作品、「未迎圖」(山口晃)











「大屋圖」(山口晃)



そして、額縁までセットで作品となる
「善光寺御開帳遠景圖」(山口晃)








続いて、今年の最新作、「テイル オブ トーキョー」(山口晃)





次の「日本橋南詰盛況乃圖」(山口晃)は、
非常におもしろい歪みがある。カラフルな未来感、立体交差する高速道路は
川になり、巨大な人、小さな車。これらをトータルで見ていると、
確かにこれが東京だ、とも思ったりする。











個人的に一番時間をかけて見たのがコレだった↓





それにしても、作品と作品の間にある「すゞしろ日記」の原画は面白い。

最後は「汝、経験に依りて過つ」のインスタレーションは圧巻。

もうそろそろ終わりかと出口を探して歩いていると
鉄砲百合(黒田清輝)が美しかった。





これだけごちゃ混ぜの展覧会は、特に順路もなく、見たいものをみたいだけゆっくりと眺める。終わってみて満足度の非常に高い展覧会だった。



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Jam Session: The Ishibashi Foundation Collection x Yamaguchi Akira Drawn to the Irresistible Sensation
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 
ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン

@アーティゾン美術館(東京)
2023年9月22日(金)