パリのポンピドゥーセンターから名作が集まった本展。
キュビスムの系譜をずらりと紹介する中で、一際ピカソの別格を感じることもできる。

まずは、キュビスム以前。
セザンヌやゴーガン、アンリ・ルソーの作品が並ぶ。
中でも、アンリ・ルソーの「熱帯風景、オレンジの森の猿たち」は
どきりとする色、コントラスト、そして超平坦。
写真撮影が禁止の名作は、しばらく私の足を止める。
ルソーの絵の持つパワーにはいつも感心させられる。


ポール・ゴーガン『海辺に立つブルターニュの少女たち』





次は、ヨーロッパ以外のアフリカやオーストラリアの〈プリミティヴィズム〉。
それに影響を受けたアンドレ・ドランやピカソ、ジョルジュ・ブラックの作品が並ぶ。


パブロ・ピカソ『女性の胸像』





マリー・ローランサン『アポリネールとその友人たち(第2ヴァージョン)』





そして、キュビスムの誕生。幾何学的な線で描き出される像。


ジョルジュ・ブラック『レスタックの道』





ブラックとピカソ、ザイルで結ばれた二人と題された一角は、見応えがあった。
一気に線が直線になり、立体化していく。


パブロ・ピカソ『女性の胸像』





パブロ・ピカソ『肘掛け椅子に座る女性』





ジョルジュ・ブラック『ヴァイオリンのある静物』





ジョルジュ・ブラック『円卓』





ジョルジュ・ブラック『ギターを持つ女性』





ジョルジュ・ブラック『ギターを持つ男性』





パブロ・ピカソ『ヴァイオリン』





続いて、フェルナン・レジェとフアン・グリスの対比。


フェルナン・レジェ『形態のコントラスト』





フアン・グリス『ギター』





フェルナン・レジェ『縫い物をする女性』





フアン・グリス『本』





ロジェ・ド・ラ・フレネー『腰かける男性』





ここまで比較的小ぶりな作品が並び、その構図、線、色をじっくりと堪能していた所に
ドン、と現れるのがロベール・ドローネーとアルベール・グレースの大作2点。
サロンにおけるキュビスムの最高到達点のようなパワーがある。



ロベール・ドローネー『パリ市』





アルベール・グレース『収穫物の脱穀』









ソニア・ドローネー『バル・ビュリエ』





ロベール・ドローネー『都市 no.2』





会場が変わって、デュシャン兄弟とピュトー・グループの展示。


レイモン・デュシャン=ヴィヨン『マギー』





フランティシェク・クプカ『色面の構成』





フランティシェク・クプカ『挨拶』





芸術家のアトリエ「ラ・リュッシュ」からどきりとするほど金ぴかの彫刻。

コンスタンティン・ブランクーシ『眠れるミューズ』





ここからシャガールの見慣れた世界観。

マルク・シャガール『ロシアとロバとその他のものに』





マルク・シャガール『婚礼』





マルク・シャガール『白い襟のベラ』





アメデオ・モディリアーニ『赤い頭部』





アメデオ・モディリアーニ『カリアティード』





アメデオ・モディリアーニ『女性の頭部』





次に東欧から来たパリの芸術家たちの作品群。
テイストの違いもあるが、バックグランドの違いに思いがいく。


エレーヌ・エッティンゲン『無題』





レオポルド・シュルヴァージュ『エッティンゲン男爵夫人』





ここからキュビスムの2.0と言える時代の作品が並んでいく。


ナターリア・ゴンチャローワ『電気ランプ』





ジャン・プーニー『理髪師』





ミハイル・ラリオーノフ『春』





個人的には、ここから先、〈キュビスムと第一次世界大戦〉という枠でくくられた
作品群に目を奪われるものが多かった。戦地にいった芸術家、
そして、残された芸術家。そこで表現する強い力の根源。


フアン・グリス『椅子の上の静物』





パブロ・ピカソ『若い女性の肖像』





キュビスムという大きな流れの後、芸術はその先へと進んでいく。

パブロ・ピカソ『輪を持つ少女』





フアン・グリス『ギターを持つピエロ』





ル・コルビュジエ『静物』





アメデ・オザンファン『食器棚』





フェルナン・レジェ『タグボートの甲板』





アンリ・ローランス『頭部』






革命と名付けられるほどの「時代」の
美の探求を時系列に見てくると
ふと、線と色の変化であることにも気付きながら
出口への登りのエレベーターに乗る。



→ atelierに戻る


The Cubist Revolution
An Exhibition from the Collection of the Centre Pompidou, Paris

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展
美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ

@国立西洋美術館(東京)
2023年11月17日(金)