松村シェフが作り出す芸術的な一杯。光り輝くようなラーメンがこちらだ。フレンチ出身の松村シェフは、一杯、一杯ていねいにつくりだしていく。カウンター席6席のみ。店内の隅々まで徹底したこだわりを感じさせる。調理器具は、ラーメン屋のそれとは違い、まるでビストロ。なんとも特別感のある空間が広がっている。それなのに、松村シェフのていねいでやわらかい接客が、これまた気持ち良い。

とはいえ、こちらの八五。なかなかありつけない。午前11時に開店する時点では、ほぼ毎日スープ売り切れの状態。9時半に並んでも、4巡目ぐらいになり、店内に
入れるのは12時前になる。2時間半並んでも、食べる価値のあるラーメン。それが八五の一杯なのだ。

特徴は、なんといっても、その美しさ。かえしといわれるタレを使わず、素材からとったスープの中に、芸術的な麺、チャーシュー、味玉などなど、どれもが特別にていねいな味だ。そして何より、麺をすするときに、ふわっと香る匂い。これは、とても複雑で、癖になる。単純な香りではなく、いくつもが混ざり合った香り。そこに麺のちょうどよいコシのある噛み心地が、これでもかというほどに幸せにさせてくれる。

ミシュラン一つ星の名店。それゆえ、行列には外国人の姿が実に多い。れんげでスープをすくって飲む。香る。その後に、絶妙なうま味がやって来る。チャーシューを食べ、味玉をいただき、麺をすすり。この動作が、かきこむようなスピードを許さない。しっかり味わいたくなる。

食べ終わることには、暑かったこの日に合わせてか、水出しのお茶を出してくれた。割りばしも、コップも、こだわりを感じる、改めて。

【ラーメン】
銀座 八五 @東銀座

2023年5月11日

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