GOLDEN BAD
井上陽水(2000年発売)

紅すべり
My House
Be-Pop Juggler
SINGING ROCKET
野蛮な再会
ライバル
ダメなメロン
俺はシャウト!
バレリーナ
夢寝見
Speedy Night
全部GO
Yellow Night
UNDER THE SUN

白と黒があり、善と悪があり、明と暗があり、優と劣があり、
「GOLDEN BEST」と「GOLDEN BAD」があるわけだ。
その区別しか"ない"と決めようじゃないか、この際の際!
(ジャケットより)

ヒットメーカー井上陽水を知らない世代にまで井上陽水を知らしめたベストアルバム「GOLDEN BEST」に続いて発売された本作。シングルのB面曲を中心に、選曲されている。どれもが、井上陽水らしいと言えばらしい、ただ、っぽくはないとも思える曲が並ぶ。そこに生まれる不思議な一体感。統一された構成で、これぞ井上陽水ワールドだと思える一枚になっている。

サブスク全盛の今(2026年現在)、解禁されていないアルバムであり、合わせて他のアルバム未収録のものもあり、なかなか貴重。奥田民生とつくった「ショッピング」同様、ずーっと聞き入ってしまう1枚だ。





1曲目「紅すべり」。アラブ、太い声、独特のリズムの構成の中で歌詞が光る。

 ぬめり輝く花びらの
 闇の砂漠の紅すべり
 醒めすぎて 艶やかに
 聞けば答は様々に
 その夜に 特に 花を摘ませて


2曲目の「My House」は人気の曲。軽快なリズムに韻を踏んだり
踏まなかったり、自由で心地良い歌詞が魅力。

 俺はキャッチコピーだ
 俺はキャッシュサービス
 どこもここも住み家らしいわ
 数の事はめまぐるしいわ
 これがヒットメロディー
 君はチャンスメーカー
 誰もかれも疑わしいわ
 次の唄は生み苦しいわ
 風はゆれにゆれて
 庭は猫の額 My House





3曲目の「Be-Pop Juggler」は、シングル「五月の別れ」のカップリング曲で、
印象深い。五月の別れが好きな私は、それとは真逆のようなこの曲が最初は
あまり好きではなかったが。

 ハートブレイクホテルは Be Be Be Pop
 愛も悲しみも水ましのシャワー
 ダメなんだったらまだらになって歌おうよ
 謎に満ちたナンバー
 ベランダを転がるコメディアン

4曲目の「SINGING ROCKET」。名作「九段」に収録。

 神がかりな顔で もしかしたら
 旅立ちたいくせに もうすこし まだ
 お別れだ Baby, Baby 消えたいほど
 ひび割れた銃のように 撃ちたいだろう
 SINGING ROCKET MORE

5曲目「野蛮な再会」。忌野清志郎との合作。

 スピードをあげても
 ブレーキをかけても
 野蛮な恋のようで





6曲目「ライバル」。この曲は大好きな一曲。アルバム全体の構成の中でも
いいスパイスになっている。

 彼女は時代に的確で
 遅れる奴など待ったりしない
 選びぬいた恋人にも
 約束どうりのKissなどしない

7曲目「ダメなメロン」。アルバム未収録で、「新しいラプソディー」のB面。
この曲が聴きたくて、このアルバムを手に入れたくなるといってもいいほど。
もう、サビは聞いてても、口ずさんでも心地良い。

 熱い体のあなたは今でも
 恋のメロン ダメなメロン
 恋の終りに気づかぬあいだに
 散っていくのが悲しい
 まるであなたは転がるばかりの
 恋のメロン ダメなメロン
 大人みたいに怖がる彼氏を
 もっとあなたが誘って どんな夜も





8曲目「俺はシャウト!」。玉置浩二との合作で、安全地帯と一緒に歌った
「夏の終わりのハーモニー」のB面。A面から一気に雰囲気を変えて、陽水と玉置の
ノリが感じられる一曲。

 俺はシャウトでシャウト
 声までシャウト
 ひずんだまま いつでも
 俺はシャウトでシャウト
 あの娘とシャウト
 こわれたまま ひどく愛して

9曲目「バレリーナ」。遊びすぎたから、ここらで一発、本気の陽水を、とでも
いいたげな名曲。本当に、詞も曲も名作。

 街から25kmの森のこかげに隠れて
 指をくわえて待ってるあなたから どうぞ
 形もない湖のまわりで遊ぶ天使を
 息をひそめて見ていた私から じゃーね
 斬新なパラソル
 星影も 人影も
 単純なカラフル
 いつまでもよろこんでいるバレリーナ

10曲目「夢寝見」。ゆ め ね み。この四文字の組み合わせの妙で見事な存在感。
タンタンッタ タンタンタッタ。ユメネミッツ。石川セリのコーラスもすばらしい。





11曲目「Speedy Night」。「いっそセレナーデ」のB面、アルバム見収録曲。

 腕をつかんで
 ヒドイ誘いのかわりに
 鼻をつまんで
 まるいお口のまわりに
 雨の日なら 泣いて
 寒い日なら 抱いて

12曲目「全部GO」。妖怪のような曲調と、不可思議な言葉の妙。陽水の声が光る。

 はかなんで まどろんで
 寂しんで それを楽しんで
 あの娘もこの娘もどのみち
 全部GO

13曲目「Yellow Night」。イントロがとても素敵な曲(夢寝見にならんで)。
出だしの「俺のあの娘は夏でもミンクを着たがる」で完全につかまれる。

 俺のあの娘はメロンにレモンをかけている
 泣けば瞳の奥からルビーが飛び散る
 陽気な面もあって
 あの娘の話はトマト言葉です

 毎日がトキメキで
 ステキならステキだね
 Yellow Night
 Yellow Night
 こんな夜 二人して
 愛するなら 愛するなら今





最後の曲「UNDER THE SUN」。ここまで統一感のあるあやしげさは見事。

 流行歌になる以上 夏の恋は気ままな始まり
 光はテレビジョン 真夏の夜のはじける輝き
 ブルーハートのカメレオン 凍りつづける恋のまたたき
 ビーチプールのカリビアン 海の影を彩る輝き
 流行歌になる以上 夏の恋の終わりは気軽に
 流行歌になる以上







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