朝ドラでやなせたかしさんの一生を見て、それまでアンパンマンの作者としか認識が
なかったところに、分厚く、やなせさんの人生が上塗りされて、
今回、初めての大規模循環展ということで平日の午前中に訪れた。

これまで、この文学館には何度も足を運んでいるが、
これほどまでに混雑していたことは記憶にない。
夏休みということもあってか、こどもも多く、
やはりアンパンマンの世界観は、こどもにしっかりと刺さっていることがうかがえた。

まず、このやなせたかしという方の生み出すイラスト・漫画には、ストーリー性がある。
とても詩的なところにひかれる。

そもそも、自分の顔を食べさせるという発想自体に、詩的さを感じる。
さらに、先述の朝ドラで、壮絶な戦争体験をしたことを知ると、よりぐっと深みを増す。

漫画家、詩人、絵本作家にイラストレーター。
さらにはデザイナーから編集者まで、活躍の幅は広い。

その基にあるのが、「人を喜ばれること」だという。
今回の展示では、やなせたかしさんという一生が、
少しずつ、まんべんなくみられる構成となっている。

写真は、入口に入るまでのエリアのみ。
あとは、上から見たらアンパンの形をしている独特な会場を、気の向くままに進んでいく。
(狭いので、人でごった返していたので少し残念だったが)

まず、「おとうとものがたり」のイラストと詩から始まる。
これまた朝ドラで弟の関係を知っているせいか、
特に、シーソー(ギッコンバッタン)の詩には、心を打たれる。

その背面には、数々の雑誌が並び、彼の手がけたイラストやポスターが展示されている。
特に印象に残ったのが1960年に開催された
永六輔作・演出のミュージカル『見上げてごらん夜の星を』のポスター。
デザインーとしての彼のセンスが光っている。
もちろん、本格的に漫画家になるまえの三越百貨店時代、
包装紙のMitsukoshiのロゴのしっかりと展示されていた。

漫画の原作が多く、これをゆっくりと一つずつ読んでいくだけで、時間はどんどん過ぎていく。
本当に、シンプルなのに骨太で、メッセージ性の強い作家だ。

『手のひらを太陽に』の原作とレコード、そして歌詞(詩)。本当に素晴らしい。
「ぼくらはみんな 生きている 生きているから 歌うんだ 
ぼくらはみんな 生きている 生きているから かなしいんだ 
手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮」。

生きている。だから、、、の詩の世界が普遍的にすばらしい。

次の少し開けたスペースには複製ものが並ぶ中、
『メイ犬BON』の原画や、『ボオ氏』の原画あり、おもわずほっこりする。
そして、キャラクターデザイン画やご当地キャラクターグッズの展示を見ながら、
本当に、この作家の頭の中の広さというか柔らかさに驚かされたりもする。

『詩とメルヘン』という雑誌を編集して出版する。
やなせたかしにとって重要な局面のこの展示は、かなり詳しく展開されていた。
詩が実にいい。この辺りが、サンリオからの出版も多く、作者不明の詩や画が並ぶ。
この雑誌にリアルタイムで出会っていれば、個人的には幸せだったなと思う。

そして、『やさしいライオン」に代表されるやなせたかしの絵本の世界。
原画が多く展示されているので、それを見ながら、絵の中のやさしさにホッとする。
『チリンのすず』の原画も多い。

そして、いよいよ「アンパンマンの誕生」。
『顔をあげるアンパンマン』「不思議沼の影』『木の下の4人』など
10枚ほどつづく原画は、1枚1枚が本当にアートだった。
1990年代後半に一気に書かれたようで、絵としての魅力が素晴らしい。
当初、このアンパンマンは売れなかった。それは今ほど「かわいい」ものではなく、
もっと人間の要素が濃く、怖いという印象だったそうで。
その頃の原画も見ることができる。
また、アンパンマンのキャラクターメモも、
やなせたかしさんのきめ細かさというか真面目さが垣間みれる。

最後はエンターテイナー、やなせたかしを特集。
ステージ衣装や晩年の映像が流れる。
私は、ここにきて、東日本大震災の際、被災地に送った彼の直筆のメッセージと、
そこに記された詩(歌詞)。
これこそが、やなせたかしの人生を物語っているように思う。

♪ なんのために うまれて なにをして いきるのか
  こたえられないなんて そんなのは いやだ!
  いまをいきることで あつい こころ もえる
  だから きみはいくんだ ほほえんで
  そうだ うれしいんだ いきる よろこび
  たとえ むねのきずが いたんでも
  ああ アンパンマン やさしいきみは
  いけ!みんなのゆめ まもるため














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Yanase Takashi : Life is about bringing joy to others
やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ 

@世田谷文学館(東京)
2026年7月30日(木)