私がこのイラストレーターの作品を初めて見たのは
アジカンのアルバムではなく本屋。一際目を引いた表紙。
その作家(森見登美彦)は知らなかったし、タイトルも個人的には手にしないような
「夜は短し歩けよ乙女」。なのに手に取った、そして買った。
読んだら面白かった。新たな出会い。だからこそ
このイラストは印象深い。
そらからも、色んなところで見るようになり
中村祐介という名前を知り、そこから怒濤の活躍。
この作風は、誰々のもの、というオリジナリティを手にしたもの勝ち。
そういう意味で、中村祐介らしいイラストが定着した。
例えば、及川正通の似顔絵(雑誌ぴあの表紙)は
並べるだけで圧倒的なアート感があるのと同様
この中村祐介展も、圧倒的な作品の数から
満足度の高いモノになった。
イラストレーターによる配色は、
手書き感がまったくないが、
そんなイラストに独特の風合いがでるのは
線を手書きにしているところ。
今回の展覧会では、すべての作品の原画がある。その原画が面白い。
古い名作を、彼の表紙に変えて手に取りやすいようにしたり
現代の人気作家が彼のイラストを表紙にする。
そんな系譜が整然と展示されており、
実際に本は文庫本だったりするので
それが大きなパネルになっていると、吸い込まれそうになる。
中村祐介の代表作の一つである「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉著)の表紙。
これは、作品自体が大人気シリーズになり彼の作品も世の中に浸透していった。
さらに、高校の音楽の教科書に採用され、
商品パッケージなどにも展開されていく。
私が初めて知った「夜は短し歩けよ乙女」の表紙について
シュッとした男性になりすぎたからシャツを出した、というエピソードが
なんとも合点がいって気持ちよかった。
もともとはバンドをやっていた中村祐介氏が
音楽のジャケ写として成功し、
そこから書籍の表紙に。さらには
ラジオ番組(日曜天国など)などのグッズになったり
靴のデザインも手がける。
似顔絵もあった。それぞれの「人」の特徴を作品に落とし込むところがきもちい。
特に、オールナイトニッポンのパーソナリティの似顔画はよかった。
中村祐介が中村祐介としてのスタイルを手にする前
大阪芸大時代の作品が、なんとも苦しんでいて、もがいていて
そこから手にした小さな光の粒のようでよかった。
さらには、顔を塗らない(白い)作風が完成した塗り絵や
オリジナル作品の数々が、この展覧会の最大の見所。
イラストレーターではなく
作家としての中村祐介の作品も堪能出来るのも含め
この展覧会は、充実感がある。









































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Yusuke Nakamura Exhibition 2026 in Kanazawa
中村佑介展2026 in 金沢
@金沢21世紀美術館(金沢)
2026年5月2日(土)

