いま、あたし、そらを、とんでます
どこかで感じた風に、似て
とても優しい匂いが、した

まだまだ、足りない。
そう思って膨らましてた あたしの、風船。

あの日、
ぷかぷかと舞い上がった、の。


何かに向かって歩き、出し
足踏みばかりで 焦っては、

もっと、もっと
ふいて、ふいて、吹き込んだ
あたしの、風船

気が付けば、
こんなに大きくなってたん、だ。



   飛べないと思ってた、まだ。
   だけど
   今 あたしは あたしの風船で 浮かんでる

   見下ろしたら、歩いてきた道
   色々咲いてて、ほんとに綺麗



そうなんだ、と思う。

あたし、ここに来るために、
膨らましてたんだ

ここから始めるための
今までのあたしだったんだ。


いま、あたし、そらを、とんでます。



  
by Shogo Suzuki