これまでのストーリーをしっかりと回収しながら、前半は若き日の「えい政」と闇商人「紫夏」との話が中心に展開される。一つひとつ物語性を大切に組み立てていきながら、趙からの脱出、そして憑き物がとれたようなえい政を見届けて命を落とす紫夏のシーンまで、この「動」の映像が、劇場でみると迫力がすごい。
この映画の魅力は、このあたりにある。ただ単にアクションや迫力で押し切らず、しっかりと「心」を描く手法。ここで第一のピークに達する。
その後、秦の総大将となった「王騎」が向かう敵将との闘い。ここで、わらべ信は、王騎から「飛信隊」という名を与えられ、100人の兵士を率いる隊長となる。
ロールプレイングゲームよろしく、高台から軍勢の位置から示しつつ、わざわざ作戦を解説する役までおいて丁寧に展開される。頭脳戦を緊迫感をもって描きながら、大沢たかおの演技が光る。ちょうどいいキャラ設定と緩さと、そしてグッとにらみを利かせる演技と。どれも素晴らしい。
頭の中で繰り広げられる戦いに対する現場での殺し合いの迫力の差。ここに気持ちが持っていかれる、このバランスが見事だ。特に、信率いる100人隊の躍進は、見ているこちらまで高揚する。こういう漫画的要素もしっかりと表現してくれるからいい。
最後は、前作に続いて、サクッと決めてしまう演出ながら、今回の片岡愛之助の最後は見事だった。なんとも言えない絶妙な演出。これは、詳しく書かないが、映画のクライマックスとして絶品。それまでの引っ張り方と終わり方。
そこからは、次作へとつなぐ要素が怒涛のように出てきて、幕を閉じる。宇多田ヒカルの主題歌を聞きながら、次作の展開を頭に勝手に描きながら、また、次作も劇場で見たいと強く思った。
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